それは、1年くらい前。


あたしが2歳と数カ月のころだった。


夕方、いつものようにママと遊んでいた。


でも………


数十分後、ママはあたしと遊ぶ手を止め、あたしに言った。


「ママね、疲れちゃった。もう楽になりたいの。
 ごめんね。」


そう言って、言葉の意味もよく理解してないあたしに、

ママはポケットからキラキラしたものを取り出した。


指輪だった。


指輪といっても、シルバーとかダイアモンドみたいな

高級なものじゃなくて、

今思えば近所のお祭りで売ってるような、

ガラクタみたいな安っちいヤツ。




でも、あたしはすごく嬉しかったんだ。


「そりぇ…くれるの?」


発音のはっきりしないあたしの声に、ママは


微笑みながら頷いた。


「これは、愛にあげるよ」