少し緊張しながら部屋に入り、近くにあった牛乳パックで作られている
手作りの椅子に腰掛けた。
室内を見渡すと、こちらに興味がないのか気にも留めずに
数人で遊んでる子や、一人で遊んでいる子、
あたしを「誰?」とでもようにチラチラ見ている子供もいる。
そんな光景を見ているうちに、騒がしい部屋の中に
あたしの大好きな声が響き渡った。
「みんな~遊ぶのをやめてこっちにおいで。
今日はね、新しいお友達が来たのよ。」
みかお姉ちゃんの声を聞いた子達はみんな各自で
遊び道具を片づけたりしてあたしとみかお姉ちゃん
の周りに集まって来た。
30人くらいの瞳が一斉にこっちを見ている。
1人送れてこちらに来た子が他の子の後ろまで
くると、みかお姉ちゃんはあたしに小さな声で
簡単でいいから自己紹介してね、と言うとみんなに
「新しいお友達が来ました~。」
と、みんなにまんべんの笑みで言う。
そう一言言い終わると、みかお姉ちゃんはあたしの方
に目線を変え、目であたしに自己紹介をするように言う。
でも・・緊張がマックスに達したあたし。
「は・・初めまして……ぉ、沖田 愛です。
よろしく・・ね……」
とまぁ、思いっきりキョドっちゃったし、
言葉も途切れ途切れになってしまった。
どーしよ・・
そんなことを思っているうちに、みかお姉ちゃんは
他の子たちに言った。
「愛ちゃんはおうちの事情でここに来たんだよ。
みんな、愛ちゃんがなじめるように早く友達になってね。」
すると、みんなは「はーい」と返事をして、
すぐに先ほどのように遊び始めた。
こうして思っていたよりも結構短かった
自己紹介は、案外簡単に終わった。
少しずつ、体の緊張が解けていく気がした。
そんなとき、5人組の男女が話しながらあたしに近寄って来ていた。
