体温36°



少し緊張しながら部屋に入り、近くにあった牛乳パックで作られている


手作りの椅子に腰掛けた。


室内を見渡すと、こちらに興味がないのか気にも留めずに


数人で遊んでる子や、一人で遊んでいる子、


あたしを「誰?」とでもようにチラチラ見ている子供もいる。


そんな光景を見ているうちに、騒がしい部屋の中に


あたしの大好きな声が響き渡った。


「みんな~遊ぶのをやめてこっちにおいで。


 今日はね、新しいお友達が来たのよ。」


みかお姉ちゃんの声を聞いた子達はみんな各自で


遊び道具を片づけたりしてあたしとみかお姉ちゃん


の周りに集まって来た。


30人くらいの瞳が一斉にこっちを見ている。


1人送れてこちらに来た子が他の子の後ろまで


くると、みかお姉ちゃんはあたしに小さな声で


簡単でいいから自己紹介してね、と言うとみんなに


「新しいお友達が来ました~。」


と、みんなにまんべんの笑みで言う。


そう一言言い終わると、みかお姉ちゃんはあたしの方


に目線を変え、目であたしに自己紹介をするように言う。


でも・・緊張がマックスに達したあたし。


「は・・初めまして……ぉ、沖田 愛です。


 よろしく・・ね……」


とまぁ、思いっきりキョドっちゃったし、


言葉も途切れ途切れになってしまった。


どーしよ・・


そんなことを思っているうちに、みかお姉ちゃんは


他の子たちに言った。


「愛ちゃんはおうちの事情でここに来たんだよ。


 みんな、愛ちゃんがなじめるように早く友達になってね。」


すると、みんなは「はーい」と返事をして、


すぐに先ほどのように遊び始めた。


こうして思っていたよりも結構短かった


自己紹介は、案外簡単に終わった。


少しずつ、体の緊張が解けていく気がした。


そんなとき、5人組の男女が話しながらあたしに近寄って来ていた。