「ここは、施設なの。お母さんやお父さんのいない子が


 ここで暮らしてるんだよ。」


みかお姉ちゃんは教えてくれた。



「そ・・なんだぁ…グスッ・・・」


いまだに泣きやんでいないあたし。


そんなあたしにみかお姉ちゃんは、


「好きなだけ泣きな。こういう時は泣いた方が
  
 
 すっきりするよ。愛ちゃんの昨日までの悲しみは


 埋めることは出来ないけどさ。今日からは私が
 

 愛ちゃんの淋しさ、埋めることならできるからさ。」


その瞬間、止まりかけていたあたしの涙が、


再びとどめなく溢れはじめた。


でも、今までとは違う。


今流れてるのは…『ウ レ シ ナ ミ ダ』。


生まれて初めてだったんだ。


嬉し涙を流すなんて。




お兄さんが夜、酔っ払って帰ってきて、あたしを


蹴ったり殴ったりされた時も、


昔、ママと過ごした最後の日を思い出した時も、


2人で暮らしてるのに、ひとりぼっちのような感覚に襲われてた時も、



いつも、かなしい涙で枕を濡らしてたんだ。



でも、これからは違う。


確信はないけど、みかお姉さんと、ここで暮らしていると


あたしの欲しいものがもらえる気がしてくるんだ。