なんで、この女の人は昨日のことを知ってるの・・?
あたしの気持ちが読めるかのように、あたしの前に座った
女の人は、また話しはじめる。
「愛ちゃん、よねぇ?昨日の夜ね、ここに連絡があったの。
小さい子が一人でいるって。連絡してくれたのは愛ちゃんの
家のお隣さんなんだけどね、しばらく様子を見てても親御さんが
帰ってこないからって、ここに連れてきてもらったのよ。」
女の人は、さらに詳しく教えてくれた。
家のドアが開きっぱなしで、不審に思ったこと。
それで、家の中に入ってみると小さい子供…つまりあたしが、
泣きながらうなされてたこと。
そして、寝言で「ママ、ママ」って、ずっと繰り返してたことも。
女の人は、「まあ、全部連絡してくれた方に聞いた話なんだけどね」
そういって、はにかんでみせる。
その笑顔を見ていると、心の中に張りつめていたものが、
一気にしぼんだ気がして、あたしの目から
ボロボロと、たくさんの涙があふれ出した。
「伊藤みか」と名乗る女の人は、あたしに
「ミカリンでもおばちゃんでも、呼び方はなんでもいいから。
好きに呼んで?」
といってくれた。
あたしが
「じゃ、みかお姉ちゃん!!」
というと、
「お姉ちゃんって年じゃないのに~」
そういって、また笑ってくれた。
