____ミーン ミーン ミーンッ
朝、あたりまえだけど人の気も知らない
セミが、元気な声で泣き続けている。
目の下を触ると、しっとりとした頬の上に、
冷たいあたしの水が、まだ乾かずに残っている
いつのまにか廊下で寝てしまっていたあたしは、
起き上がって、水を飲もうと水道の方へと歩く。
そのとき、気づいた。
「ここ、どこ???」
寝ぼけていて気付かなかったけど、
あたしがいたのは、あたしの家じゃなかった。
もちろん、水道の方向にあるのも、水道なんかじゃなくって。
そんな時、困惑しているあたしの近くにある、
左側のドアが開いた。
「あらぁ、目が覚めたの?おはよう~」
そう言って入って来たのは女の人で、
分かってはいるけど、ママじゃない人。
それにママはもっと、可愛かったし。
無反応なあたしに、ちょっと小太りしている
その女の人は、続けて話す。
「昨日、大変だったわねぇ~。」
え・・?
