「あっあらぁ~、優花ちゃん。きょ、
今日は帰りが早いわねぇ~。」

冷や汗をダラダラ流しながらそう
言う。

「…学校、早く終わったんで。」

その子、優花は眉間にしわをよせ、
2人を見た。

「そっそう!?じゃあね、ごめんな
さいねぇ、あははははっ!」

そう言いながら2人の女は逃げて行っ
た。優花は、2人の消えた方向をじっ
と見ながらボソリと言った。

「早く死ねばいいのよ、あんな奴ら…」

彼女はとても可愛らしい顔で、小柄だ。
だがその女の瞳は、空色のキレイな色
のはずなのに、氷のように冷たくて輝
いていた…。

長い黒髪が風でゆれた。

優花は家の鍵を開け中へと入って行く。
家の中は殺風景だった。必要な家具以外
ないといった感じだ。

優花は2階へ上がり、自分の名前を立て
かけた扉を開けて中へと入る。

制服を脱ぎ捨て、部屋にのはじにある
ベッドに倒れ込むようにして下着のま
ま寝っ転がる優花は家の前にいた2人
の会話を思い出した。

『精神的におかしくて、自殺したんでしょ。』

『事故じゃないらしいのよ。殺されたって。』

優花はぐっと握り拳をつくる。

「勇希兄…。」
そう言いベッドの上で寝ている時だ、
ブルルルルッ、ブルルルルッと制服のポケットにあ
る、ケータイが鳴る…。