「雪就ーおやすみ〜」
『うん。おやすみ』
夢を、見た。
そこは真っ暗な世界。
何処からか、泣き声がする。
(男の子…?)
「ふっ、うぇ…っ」
なんだか泣くのを我慢している感じだった。
「ねぇ、どうして泣いてるの?」
「お母さんと、お、父さんがっ、死んじゃっ、た、から…っ」
「どうして泣くのを我慢しているの?」
「っ、おばさんが、男のくせにくよくよ泣くなっ、て、言ってた、から」
だから我慢してるんだ…
「君の名前は?」
「ゆっき、なり…」
「雪、就…?」
コクコクと頷く男の子。
(この子、雪就なの…?)
「雪就?男の子でもね、泣きたいときは思いっきり泣いていいんだよ?」
「だっ、て…」
「おばさんも、こういうときなら泣いていいって言うと思うよ?」
「ホ、ント…?」
「うん」
そしたら雪就は、私に抱きついてきて、わぁわぁ泣き出した。
私は、ポンポンと背中を軽く叩いてあげた。
昔、お母さんにしてもらったように…
そこで夢から覚めた。
「雪就ー?」
『なぁに〜?』
雪就はぴゅーっと飛んできた。
…何故かとてもにこにこした顔で。
「…やっぱいいや」
『…?』
夢の世界は真っ暗だったけど、
そとは今日も綺麗な青空。
