「真次!」
ササを追っていこうとしたら誰かに制服の裾を掴まれた。
振り返ると、中学から一緒の三橋愛(ミツハシマナ)が心配そうな顔をしていた。
愛は可愛くて明るいため男女問わず人気者だ。
「何?」
「行くの?」
「…うん」
「危ないよ。真次アタシより弱いもん」
「そりゃお前が異常な強さなだけだバカ」
愛は小さい頃から空手をしている。
下手な男なんかよりずっと強い。
「ササなら大丈夫だよ。バカだけどケンカだけは強いし」
「…そうだな」
「だから真次は行かないほうがいいよ」
「…そうかもな」
「そうだよ!」
「でも、」
俺はまだ制服の裾を掴んだままの愛の手を優しく外した。
「あんなんでも一応友達だからよ」


