「……っゆき!」


しかし、聞こえたのは私の大好きな声で、優しい声で、強く抱き締められた。
温かい手、温かい体温、程よい力強さ…これは、雪兎。
ねえ、これは夢?
夢なら、覚めないで。



「ゆき?」


怖かった。
顔を見たらもしかしたら雪兎じゃないかもしれない。
夢から覚めてしまうかもしれない。
でも最後かもしれないから、ゆっくりと顔をあげた。




「お待たせ」


なんて言って優しく微笑むんだよ。
今の状況わかってる?って言ってあげたいのに、言葉にならないよ。
だって、正真正銘雪兎なんだもん。
これほどに求めていた雪兎が私の目の前にいるんだもん。