ピーンポーン


「はい」



いよいよ、別れ。
幸せだったなあー。
絶対あいつに屈しないって決めて一歩を踏み出す。


「ゆき、行こうか」


胡散臭い笑顔。
これからが地獄か…。
不意に涙が溢れそうになった。
でも必死に我慢して、私は雪兎を真っ直ぐ見つめる。
雪兎は少し嬉しそうに笑顔を向ける。



「雪兎、大好き」



「俺も愛してる」




ああ、やっぱり幸せだよ。
こんなに胸が温かくなったのは初めてだもん。
私は雪兎と一緒に過ごせた時間が、雪兎を想った時間が幸せでした。



…さようなら。
幸せになってね。



バタン







その日から私達が会うことはなくなった。