浅葱色の瞳に

「…俺ァ、今から隊士の稽古を見に行くが…いいな、絶対に部屋から出るんじゃねぇ…わかったな?」



「………はい」


としか言い様がない





「…あ、あの!そんな簡単に出て行って良いんですか?」


「あァ?」



「だって、あたし、夷人ですよ?今日初めてお会いしたばかりの…怪しさ満点の人間を見張りも付けずに一人にしていいんですか?」



此れはあたしなりの配慮と心配である




「…ああ、お前みてぇな成り、隠れてたって直ぐに見つけれっからな…要らん心配だ…其に<番犬>も付いている」



番犬?



「…大人しくしてるこった…噛まれたくなけりゃあな…」




そう言い残して土方さんは障子戸をピシャリと閉めた


衣擦れの音は小さくなっていく




…犬…
なんのことだろうか…
新撰組は犬でも飼っているのだろうか?




………それにしてもとんでもないことになってしまった…



タイムスリップしたということだけで頭は混乱しているのに、此の世界に来て早々先程の修羅場……





あたしは此れから一体どうなるのか…




きっとこの世界にいる限り、先程の様な命の危機は数多くあることだろう