鉄壁のファシズム体制が、滑落する危機だというのに。 むしろ嬉しく思えるのは、私に人間としての感情が戻った証拠。 罪悪感なんかじゃなく、喜びを味わえる人になれるかな…? 「佐田さん、おはようございます」 「立川さん、どうなさったのです?」 「大切な用事がありますので…」 今日は1人で、役員室のあるフロアに乗り込んだ私。 そう今日は、“例の日”だから…―― 「今日はこちらに待機しておりますので!」 「はぁ?」 意味が分からないと言った、訝しげな表情をする彼。