佐々木さんと東条社長の秘密を知るのは、兄ともう1人の人物だけ。
色々と調べられて足がついてしまったと、兄は言いたいのだと思う。
これまでずっと、全くバレる心配も無かったというのに。
雅貴様の急すぎる行動が、こんな所に余波を齎したなんて・・・
「選択肢は二つに一つで・・・
シラを切るか、真実を話すかのどちらかだ…。
それで俺は…、東条社長にすべてを話したよ。
悪者になるのは構わないが…、道理だけは通したかったんだ。
東条社長には数え切れないほど、世話になったから…」
「っ・・・」
項垂れながら、拳をギュッと作っている姿に心が痛んだ。
冷静沈着で確実に、どんな任務もこなしてきた兄だけど。
妹の私と時を同じくして、人間としての倫理が働いていたなんて・・・

