仕事に私情を挟むだなんて、ますます嫌悪感が募るけれど…。
それでも、せめて忠実な下僕でなければならないから…。
「あら、それだと認めたのも同然よ?
貴方には、ひとつだけ言わせて貰うけれど…。
今さら断わろうだなんて、絶対に許さないから。
拓海の婚約者は貴方じゃない、この私なの――」
苦しさから、矢継ぎ早にすべてを言い終えた私。
だけど、今までの“経験”のお陰か、不自然にはならなかった筈。
一定のトーンで伝えれたけど、心中穏やかな訳ない。
佐々木さんと東条社長を、引き裂いてしまうモノだったうえ。
雅貴様と彼女をグッと引き寄せる、ダメ押しのモノになったから。

