幼馴染み・・・そんな風に思ってないクセに。
主に忠実な、ただの下僕としか扱わないクセに。
雅貴様はいつだって簡単に、私を貶める人だ・・・
トンッ――
その時、隣からコソッとワンピースを引っ張られた。
あ・・・いけない――!
「あ、自己紹介がまだだったわね!
私は、立川 佳奈子(タチカワカナコ)です。
蘭さん、どうぞ宜しくね――?」
雅貴様の言葉に動揺して、すっかり名前を名乗るのを忘れていた。
「あ…、こちらこそお願い致します…」
「フフッ、畏まらないで良いのに!
蘭さんと私は、同じ歳なのよ?」
言葉を紡ぐことさえ辛そうな、佐々木さんに精一杯微笑み返す。
雅貴様の相手に会って、辛くて堪らないのに・・・
宜しくって酷な言葉…、いつも以上にそう思えてしまう。

