『足りないねぇ。 お腹が空いているんだよねぇ・・・ ウチに来て、牛乳でも飲むかい?』 子犬は垂れた耳をピクリと動かすと、タエのくるぶしの辺りをペロペロと舐めた。 蚊に喰われた所を引っ掻いて傷になった箇所を、愛おしそうに舐める。 『あぁ、くすぐったい。 わかったわかった、今、美味しい物をあげるから、ね・・・ 』 タエはついて回る子犬に言い聞かせると、穏やかな笑みを浮かべた。