刺さるような陽射しは、今年74歳になるタエにはさすがに堪えた。 頭に巻いた手ぬぐいから、汗が漏れては瞼に刻まれた深い皺に溜まり、目に染みる。 それでもタエは、広く汚らしい池の周りの草むしりに没頭する・・・ 五年前に先に逝った夫なら、きっと同じように草をむしるだろう。 戦争を知っている人間のほとんどがそうするように・・・。 この年代を生きてきた者にとって、怠慢に生きることは唾棄すべき贅沢なのだ。 タエは、天国へ逝った夫を思いながら、懸命に町のボランティアに励んでいた。