「…ユキ、今日は、マスターのところにいてくれ─」 「一緒には、帰れない…」 「ユキと二人でいたら、僕は、きっと、…過ちを犯してしまう…」 「自分を、止める自信がないんだ…」 ごめん。 あたしから、目を逸らすと、のぶは、店を出た。 あたしは、何も言えず。 …動けず。 気持ちが揺れて、どうしようもなくて、ばかな自分を恨んだ。 あたしの、嘘で、二人を傷つけたんだ。 *