ナツが出て行く─ あたしは、ナツの背中を見つめたまま、動けなかった。 外で、車のエンジン音がして、遠ざかって行った。 「どうして……」 のぶの声に振り向くと、顔を歪ませたのぶがいた。 男の顔。 あたしの知らないのぶの顔だった。 *