誰かが、頬を撫でてる…
｢…のぶ？｣
ゆっくりと目を開けると、うっすらとした視界にナツの姿がうかんだ。
｢ナツ…｣
瞼に溜まった涙が、こぼれ落ちた。
｢ユキ？どうした？…何かあったのか？｣
あたしを、心配そうに見るナツ。
｢緒田のやつ、ユキをほって、どこ行ったんだ？…｣
あたしの顔を見ながら、呟くナツ。
｢……｣
あたしは、ナツの顔をじっと見つめた。
絡み合う、視線。
ナツが、あたしの頬に、そっと手を添えた。
唇に、ナツの唇が優しく触れる。
甘い、キス。
最初は、軽く─段々と激しくなる。
─ナツ…
重なり合う唇から、漏れる音。
ピチャ……いやらしい音にあたしは、体がとろけそうだ。
唇を割って入ってきたナツに求め合うように、舌を絡ませた。
─もう、ダメ！
体中の力が抜けていく─頭が、真っ白になっていく…。
キスだけで、こんなになってしまう…
あたしは、ナツが、好きなんだ。
恋人だと、言われてあたしは、どうしたの？
動揺して、驚いて、それ以上に…
嬉しかった。
あたしは、ナツに、身を任せ、甘いキスに溺れていった。
＊
