─兄のように、和希兄さんのように… あたしは、母さんの望むように─ 和希兄さんのようになりたくて、…必死だった。 あたしの後ろには、いつも母の目があった。 あたしを見つめる目。 だけど、その目は、あたしを通り越して、兄を見ていた。 あたしが、どんなに努力しても、それは、変わらず、あたしを苦しませた。 なぜ母が、あたしよりも、もういない和希兄さんにそこまで拘るのか? あたしには、わからなかった。 だけど、あの日。 あたしは、知ってしまった。 *