「いらっしゃい…と、なんだおまえ等か。」
「マスター、こんにちは。」
「なんだってないだろ?緒田。」
マスターは大きなため息を一つついて
「何のようだ?」
ぶっきらぼうにそう言った。
あたしとナツは、顔を見合わせて笑う。
「暇そうだから、寄ってやったんだよ。売上に貢献しようか?」
ナツの言葉に
「いい。」
又、ぶっきらぼうに言うマスター。
「マスター、あたしあれ食べたいな。」
あたしが、そう言うと、チラッとあたしの顔を見た。
「…………」
トンッ……
手を伸ばしてあたしの前にお皿を置いた。
お皿の上には、この間味見した紅茶のシフォンケーキ。
「ウゲッ!?緒田?こんなの店で出すようになったのか?」
甘いのが苦手なナツは、目をむいて訪ねた。
「おいしいよ?ナツ、食べてみる?」
あたしがそう訪ねると
「…霞がそういうなら…少し貰おうかな。」
ナツが優しくあたしを見つめる。
あたしの頬が、顔が熱を帯出す。
「うん。」
「………」
カウンター越しに黙って見ていたマスターの目がすわっている。
「店の温度が上がって、暑くてたまらん。」
「食べたら、サッサと帰れ。」
そう言うとナツを睨んだ。
「なんで、?俺だけ?」
あたしとマスターは、顔を見合わせて笑った。
end*