2月。

昨日から降り積もった雪で、窓から見る景色は─白い世界だった。


一階のあたしの部屋の窓を開けると、あたしは外へと飛び出した。


真っ白な雪…


あたしの中の汚く、汚れきった物をキレイにしてくれそうで─


嬉しさのあまりポケットから、それを取り出した。


右手で持ってあたしは左手首に、それを押し付ける─


手首から滴り落ちる自分の血を眺めて、あたしはほっとした。


「全部流してしまえばいいんだ…ここにいたって意味がないんだから…」


─あたしはあたしなのに?…母さんに愛される資格のないあたし…


そんな事は最初からわかっていたはず。


兄さんの代わりになれる訳ないって…


愛されるべきは、兄さんだけだって─


あたしは目の前がグラッと揺れて、雪の上に倒れ込んだ。


雪が血で染まってゆく。

「キレイ…」


後どれくらい血を出せば、胸のむかつきは無くなるんだろう─


「兄さん…」


段々と無くなる意識の中で、あたしはその名前を呼んでいた。


「母さん…ゴメンナサイ。」