「ナツ?指輪忘れてるよ。」 「お、サンキュー!」 ナツはあたしから指輪を受け取って、自分の左手の薬指にはめた。 …しっくりとおさまったナツの指に光る指輪─ あたしは複雑な気持ちでナツの左手を見た。 節のしっかり出た男っぽい大きな手── あたしはナツの手が好きだ。 薬指の指輪を除いて。 *