とある男女の攻防戦




「―――手術だね」



「え、」


どうしてもっと早く来なかったの、と言われ

診察室で残酷な宣告を受けて。


呆然とする私をよそにトントンと入院が決まり、手術を受け。


「……リハビリ?手術を受けたら帰れるんじゃないんですか!?」


「いや、手術してすぐに歩けるようになるわけじゃないし、動かさなかった分筋肉はすぐ衰えてるから、」



「嫌です嫌です私友達がしてたの見てたけどあれすっごく痛いんでしょう?」









思い出すのは学生時代。部活でケガをし手術をした友達のお見舞いに行った時の事。

たまたまリハビリを見学して。

痛い痛いと言いながら顔を歪め受けていたその姿を見て、自分の事のようにこちらも痛くなって。

ケガしないように。絶対にこんな目にあいたくないと思った。

今の今まですっかり忘れていたけれど。

十数年経ってまさかとうとう自分がその立場になるとは…。

「そりゃ痛いよ。だけど動かさないともっとひどいことになるからね、」



嫌がり首振る私に、先生は困惑した表情で私を見つめる。



「歩けて、日常生活が送れるようになればすぐ退院すればいいんだから」



「そうだよ、麻夕。一人暮らしだとどうしても動き回るし、お母さんに来てもらうにしてもお母さんも仕事してるだろ?少しの間だけだから」

孝治にも窘められ、他人事だと思って!と心の中で怒ったけれど、子供のわがままのように駄々をこねるわけにもいかず。

確かに身の回りの生活をしていく上では不便があり。店長に電話すればびっくりした声を出された後、大丈夫だからしっかり治して帰って来てねと言われ。




手術までだと思っていた入院期間はさらに延長させられた。



入院継続が決まればあっという間にリハビリ病棟の方にまで移されて。

…暇だ。暇。ぽいっとスマホを横に置いて天井を見る。


…学生の時以来じゃないかな。


こんなに長いこと休みをもらったのも。何もせずダラダラ過ごすのも。