「そんなこと言って!」
「大丈夫よ。日が経てばそのうち治まると思うし」
くじいたくらいで病院になんて行った事ない。いつもシップを貼って家で安静に過ごして終わり。
さ、手、出して。と促すけれども、納得してないみたいで。
「……ちなみに麻夕さん」
「ん?」
「骨は折れてても歩けたりするものなんですよ!とにかく、今日行って下さい!」
「え……」
「店長さんもそう思いますよね!?」
少し離れたテーブルで作業をしている店長さんに振った麻波ちゃん。
指先へと視線を向けていた店長は顔を上げて私…
それから麻波ちゃんを見る。
「私も行った方がいいと思うんだけどね…」
「大丈夫ですって」
「大丈夫じゃないから行った方が良いって言ってるんですよ!」
「そうよね。くじいたって聞いてから毎日見てるけど、腫れ、治まってなさそうだし。念の為に言ったら?」
「でも……」
「行って何にも無かったらそれで安心じゃない。私も気が気じゃないから…行ってきてくれない?」
私の為だと思って。
穏やかにそう言われてしまうとこのまま「行かない!」と頑固に言い張るのも悪いような気がしてくる。



