「そうよ」
「痛いでしょ?そんなので行ったって楽しめないよ?」
「貴方には関係無いでしょ。だから、ここまで運んでくれただけで良いから、」
降りて。すみません、ドア開けて下さい。……動きそうに無いこの男を動かそう。と言うよりドア開けてもらって突き落としてやろう。
と、思ったのに。
「すみません、●●区●●3丁目●●通りまでお願いしまーす」
車内に響いた行き先に、固まった。
「……何してるの」
「お借りしました」
ぽん、と私の膝に戻ってきたパスケース。……免許証!いつの間に、ってかこの人個人情報を……!
犯罪、だよね。訴えられるよね。怒りでわなわなと体が震えてくる。



