申し訳ないけど、でも。




「降りて」



彼の方の既に閉じられたドアを指差す。

貴方まで来る必要はない。それに家って。私は待ち合わせがあるし。


「やだ」

「……、」




「家まで送り届けなきゃ気が済まない」




「そんな気遣いいりません」





「いります。あります」




「………、」



タクシーの運転手さんの困った顔。

厄介な客を乗せたと思ってるはず。



「私、家じゃなくて待ち合わせしてるの。そこに行くから」




説得する為に体勢を彼の方に傾ける。背もたれに身を預けて、私を見つめる男。












「そんな足で？」