「ぶつかったじゃん、さっき」
ぶつかったって……あ。
「あんたかっ!!!!!」
思わず大声で叫んでしまった。急に大声をだしたからだろうか。目の前の顔も目を少し見開いた。
だって。そんな。
ただ親切にしてくれてると思ってたから……。
どうせ急いでいたサラリーマンとぶつかって、
そのサラリーマンはさっさと知らん顔して行ってしまっただろうと思ってたから。
ぶつかったのがこの人なら
心配してくれるのは当たり前じゃない。感謝なんかする必要なかったんだ。
「や、ぶつかったって言ってもぶつかってきたのは君の方だからね?俺のが強すぎて勝手に跳ね返ってっただけだし」
「は?私は邪魔にならないように避けようと思ってたの。サラリーマンの方ばっかり見てたから貴方に気づかなくて、」
「自分の不注意じゃん」
……何この男。ぶつかってちょっとは悪かったとか謝罪の言葉とか無いわけ?



