すっかり暗くなり店の明かりが漏れて明るい道をひたすら早足で進みながら電話。


″――――はい″



何回かのコールを聞いた後に聞こえてきた声。電話の向こうでカタカタと音がする。




……まだなんだ。



「あ、あの、私ですけど」

″うん。どうした?″



落ち着いて聞こえてくる声に何故か緊張してしまい、スマホを握る手に力が入る。




「すみません、今仕事終わったばっかりで、きっと時間間に合わないと――」




″あ、俺も″


言葉を遮り聞こえてきた声に、急いでいた足も止まる。




″俺も今から会社出る所。店には遅れるって連絡したから。まだ麻夕も来てないって聞いて……だから大丈夫″


「あ、」


″……焦らないで良いから。まだ電車乗ってない?″

「はい……」

ぷつり、と切れる通話。

私は待ちホーム画面に戻ったスマホを鞄の中に投げ入れた。