「晃平っ」
『ん?』
「う…うわーん」
『へ?
なんで泣くんだよ』
「…裏切り者っ!!」
そう言ってまた泣きまねをする。
今は晃平の家。
あたしは罠を仕掛けたのだ。
『裏切り?
意味分かんないんだけど?』
そうやってよ余裕かましてんのは今のうちだっ!
「これ、どういうこと?」
取り出したのは口紅の付いたピンクのハンカチ。
これが晃平のだったらキモい。
「そこにあったんだけど」
そういってひらひらと振る。
このハンカチはお母さんの部屋から取ってきたもの。
口紅はあたしのを塗りたくってみた。
どういう反応するんだろ?
『あ…、郁…ごめん!!』
「………え!?」
『許してくれー!!』
「えええええええ!?」
う、うそでしょ?
だって偽物…、
『おれ、実は、』
「…うん」
小声になった晃平に近づく。
ドンッ
壁に押さえつけられた…?
『さーて、郁。
ハンカチ、郁のにおいがものすごーくするんですけど、
どういうことか話してもらえるかな?』
「…気づいてた?」
『当たり前だろ?』
試すような真似しても無駄
だって、見てたらわかりやすいよ?お前。