「まぁ、頑張りなよ?」


「…言われなくたって、分かってんだよ」



苦笑いで返せば、琉聖はまた笑って自分の席へ戻って行った。


チャイムが鳴り、いつもなら直ぐに先生が入ってくる。




…んだが、今日はチャイムが鳴ったにも関わらず先生は来ない。





「先生どうしたんだろー?」


「忘れてたりしてねー?」




…周りも、少し不審がっている。


俺もどうしたんだ?と思いながら時計を見ていると、ふいに前から一華が歩いてきた。





「翼…」


「一華、おはよ」


「おはよう、翼。

それより、先生来ないね」




一華は俺に向かって綺麗な笑みを見せると、途端に不安そうな声を上げた。


そんな一華に、俺も笑顔を見せた。





「大丈夫だろ、来なくたって一時間目になったら他の先生来るだろうし」


「…そう、だよね」




一華がそう呟いたとき。







ピンポンパンポーン。



…放送のお知らせの音楽が、教室に響き渡った。