彼の前に立ち、血に汚れた手で彼のシャツのボタンを外していく。


彼はそれを止めようとせず、ただ私の行動を見ている。




私は露になったその身体に、全身が蕩けるような錯覚を覚えた。





「貴方は、美しいわ」


「………」


「私の、モノにしたいくらい」





無言で私を見続ける、その視線に妖艶に微笑む。


そしてそっと彼から離れ、私は彼の隣を通り過ぎた。







「…貴方の心は、誰を思っているのかしら」


「…………」


「貴方といい、私のお気に入りの入江君といい…。


美しい人間ほど、手に入らないものね…」





ゆっくり振り返り、笑った。





「じゃあね、武藤君。


出来たら貴方と生き残って、飽くまでセックスをしてみたいわ」












…そう、私は綺麗なモノが好きなの。



汚いモノなんて、全部全部。







壊して、しまいたい。










私は、私を見つめるその視線を感じながら歩き出した。