とりあえず教室から出た俺達は、まず廊下で思わず目を反らしたくなる様な状況を目の当たりにした。



琉聖が、まだその状況を見ていなかった一華の目を咄嗟に手で塞いだ。





「え…?」


「一華ちゃん、目を瞑ってて」




…そう、俺と琉聖が見たものは。





「…岩、谷……」




顔が原型を留めていない程、ボコボコにされて廊下に横たわる岩谷昌晃の姿だった。


その姿に、嘔吐感が込み上げてくる。



それを必死に飲み込み、俺と同じ表情の琉聖を見た。






「…行こう」


「……ああ」





兎に角、安全な場所を確保しなければ…。


俺は一華をチラリと見た。




「………」




一華は、泣きそうな瞳で俺の横を歩いていた。


…とりあえず、この状況をなんとかする為にも、どこか落ち着いた場所で話したい。





そう思った俺は、不意に理科実験室を見やった。


窓から見る限り、誰もいない。





「…琉聖、一度ココに隠れよう」


「…そうだね。」




俺の言葉に琉聖は頷き、俺達は鍵の開いている理科実験室へと足を踏み入れた…。