「全くお前という奴は。何故そう毎回毎回始末したがる?」

「どうせ始末するだろ。早いかどうかの違いだ」

「お前がするかの違い、だ」

レティが睨み付けるも、秀樹は眉一つ動かさない。どちらからともなく外された視線の間に、半ば諦めたような溜め息が零れた


「どういうつもりかは知らんがな、少しはこっちの気も考えてくれ。いくら戦闘要員といっても、必ず止めを指す必要はないはずだろう」

「・・・・・・鬼憑きの抹殺が目的の組織じゃなかったか?」

「・・揚げ足を取るのが好きなようだな、お前は」

レティはしばらく何か言いたそうにしていたが、ふと力を抜いて視線も手元に戻した


「・・・・もういい、戻れ」

扉が開いて閉まる僅かな金属音を聞きながら洩らした呟きは、誰の耳にも入ることなく消えた