カロンがいなくなった空間は、どこか広く感じられた

「・・さて、俺は寝るかな」

先ほどまでとは違う重苦しい沈黙は、武人の声と椅子のきしみで途切れることになった

「先行ってろ」

「寝ないのかよ?」

「少ししたらな」

いつの間にか日付の変わった時計が時を刻む音がかすかに聞こえる。武人はその場で大きく伸びあがってから歩き出した

「あんま遅くなんじゃねぇぞ~」

振り替えることなく手を振ってくる武人に秀樹は反応を返すこともなく、扉のしまる音で再び沈黙が広がる。どこからともなく漏れたため息が、重苦しい空気に溶けた