「うんっ。ありがとう…」 そして、私は足早にその場を去った。 さっきの言葉を早く忘れるようにと――。 ――『なんで、俺…冗談なんか… 今でも本当は、瑠璃…が』 最後に囁いた言葉は小さすぎて、 ――強く吹いた風に掻き消されていく。 その背中は、ひどく小さく…震えているようにも見えた。