「――り…ッ」 名前を、……呼ぶことが ――出来なかった。 ワンテンポ遅れて頭に入ってきた激しいクラクション音と、 体に走る、さっきの傷とは比べものにならない位の……鋭い衝撃。 体が宙に浮いたかと思ったら 次の瞬間には、容赦なく地面へ叩きつけられて。 意識が飛ぶ前に 「――……瑠璃ッ」 大好きな人の声が聞こえたから。 少しの間だけ、意識を引き留めることが出来たんだ。