ドアを開ける直前、見慣れた背中が視界の隅に映る。 まさか――、 凜久……? 震え上がる視線を、どうにか窓の外へと向けた。 凜久は…… 待っていてはくれなかった。 「……うっ、」 喉の奥を這い上がってくる嗚咽を抑えきれないまま、 夢中で、走った――。 凜久の元へ。 急いで靴を履き替えて、校門へと走る。 凜久の背中を、 振り返ってくれる事を祈りながらただひたすら走る――。