――パタン 数メートル先の部屋のドアが開いた。 廊下の窓から外を見つめていた私は、 もしかしたら凜久もしれない。 そんな期待を抱きながら、出てくる人物を見つめた。 凜久だ――! そう思って駆け寄ろうとした。 一瞬だけ、 見えた……凜久の表情。 なんだか暗い……? 雑用って、そんなに大変だったのかな? 「凜久、お疲れさま!ふふ……っ待ってたの。ビックリした?」 背中を向けたままの凜久に、声を投げた。 あ、れ――? その場所でピタッと立ち止まったまま、凜久は振り返ってくれない。