「瑠璃さ、……気が付かなかったの?」 「へ……?」 何のことについて言っているのか分からなくて。 「――俺、気が付いてたよ?」 ――薄々、ね。 あの冬休みの……日。 続けられる凜久の言葉に、心臓がドクン……ッと、強く波打つ。 気が付いてたって……! 「な、なん……んんっ」 焦って、喋る中……急に凜久に唇を塞がれて――。 記憶を辿ろうと、頭の中をめぐる光景が……柔らかく溶かされて。 それはきっと ――凜久のキスの、せい。