開いたノートの上に転がる消しゴム。 私はそっと、くるまっている紙を外した。 そこに刻まれたふたつの名前は、薄く消えかけていて――。 もう、大分経つもんね…… あの頃の凜久は、まだ自分の事を“僕”って言っていて。 私はまだ、凜久のことを可愛いって――男の子として見ていなかったんだ。 ハチミツ味のキスから始まった、恋。 キスした瞬間から 触れ合った瞬間から 目の前の世界が色を変えて。 彩られた世界へと私を連れていったのは ――他の誰でもない、凜久。