屋上のドア前にたどり着き、腰をおろす。

「話ってなぁに?」

「いや〜。」

言葉を濁す、美佳。

「?」

あたしがハテナの顔をすると、ようやく本題に入り始めた。

「うーん。」

あたしの顔をじっと見つめ

「莉奈ってさ、スキナヒトいないの?」

と聞いてきた。

「どうしたの?急に。」

もっと大事な話をするのかと思ってたから、吹き出してしまった。

「いや、なんとなーく。」

「なんとなーく?」

「もー、教えてよ〜。17年生きてきて、スキナヒト出来ないわけないじゃん!」

スキナヒト……。

今はいないよ
って言うべきなのかな…。

「……今はいないかな。」

「『今は』?」

やっぱり食い付いてきた。

「も〜。いいじゃん。今はいないの。」

あたしは笑ってごまかした。
美佳なら一緒にワハハと笑ってくれると思ったから。

「ねぇ。莉奈とあたしは親友じゃないの?」

けど、あたしの意と反して、彼女は真剣な声になった。

「ただの仲がいい友達なわけ?」

「そういう意味じゃないよ。」

「じゃあ、なに?あたしのこと信用してないの?」