住所通りに歩いてきて辿り着いたのは少しレトロな喫茶店。


窓辺には小さな鉢植えのタンポポ。


道端に生えてるのとはまた少し違う可憐な黄色。


まるでここだけ時間がゆっくり流れているような雰囲気に私まで溶け込んでしまいそう。


カランコロン


まるでドラマのような定番の音にそちらを向くとあの人が立っていた。


「お、予想以上に早かったな」


「不思議なことを言うのね、まるで私の行動がわかってたみたいね」


「何となくだよ。コーヒー飲めるか?」


そう言いながら私を店内に入れてくれた。


「匂いは好きだけど飲むのはあまり好きじゃないわ」


店内は窓からの光と暖かい照明の光でほんわりとオレンジ色になっていて何か心から落ち着く空間だった。


「案外可愛いところもあるんだな」


そう言った時のあの人の笑顔は意地悪くも見とれてしまうほどかっこよかった。


「良いでしょ別に!人それぞれ好みがあるんだから」


はいはいと言いながらカウンター席の椅子を出されたので素直に座る。


しばらくすると生クリームの乗ったホットココアを出された。


「俺バーの準備があるからしばらくそこで大人しくしてな」


そう言うと店の片隅にある螺旋階段を登っていった。