「とんだお嬢さんがいたもんだ。」


「それは褒め言葉?」


さぁ?なんてはぐらかされた。


「んじゃそろそろ帰るかな〜」


「指輪はどうするのよ」


「また今度だな。」


「あっそ。帰るんなら名刺くらい置いて行きなさいよね」


「何、お客連れて来てくれるの?」


「私がそんな事すると思う?友達すらいないのにどうやって客連れて行くのよ。」


「まぁまぁ、寂しい子ね〜。俺が暇だったら相手してやっからいつでも来いよ」


そう言って足下に置いてあった鞄から名刺を出して来た。


私は名刺も貰わずキョトンとしてしまった。


いつもなら友達がいないと言うと申し訳なさそうに謝られるのだが彼は違った。


「なんだ、いらないのか?」


「いる!!」


いつもの私らしくなく大声を張り上げてしまった。


「素直でよろしい♪」


なんて上機嫌で頭を撫でられたら何も言えなくなってしまう。


むっつりしたまま名刺を見れば「Cafe&Bar ダンデライオン」とお洒落な文字で書かれていた。


「ねぇ、デザインは良いのに何で“ダンデライオン”?」


「格好良いだろ、ライオン!」


「あんたの頭は小学生並み?英語なら何でも格好いいと思わないでよ。ちなみに“ダンデライオン”は日本語で“タンポポ”よ」


そう言って私は駅の方に歩き出した。


後ろの方では え〜!タンポポ!?ちょっと可愛くなっちゃってるじゃん!!などといい大人が餓鬼のように騒いでいるのが聞こえてくる。


それを聞いて不覚にも口元を緩めていた事は誰にも言わないでおこう。