サイはカッパの手を取り、そっと握りしめました。
みると、そいつの目から涙がツーと流れ落ちました。
さっきはあんなに大きく見えたカッパでしたが、こうやって見ると、サイの半分もありません。
両手で抱えあげると、すっぽりサイの腕の中に収まっていました。
カッパは嫌われ者です。
そのぬるっとした青緑色の姿のせいで気味悪がられています。
噛みつかれた者はいませんし、めったに見ることもないのですが、夜には誰も河に近づこうとしません。
そんな風ですから、カッパを家の中に入れるなんて、とんでもないことです。
誰かに見つかったりしたら、後で何を言われるかわかりません。
ですから、サイは人目につかないようにこっそりとカッパを連れて帰りました。
