8時5分。

校舎から正門にかけて“華の道”が出来る。

8時10分。

そして奴が来る。



『キャー!!!!!』

叫び声にもちかい声が学校中に響き渡った。

『片瀬くぅーん!!』とか『水紀さまーぁ!!』

女の子達の甘ったるく甲高い声が聞こえる。

あの男のどこがいいの…

一人ぽつんとそんなことを思うあたし、花崎心愛。

だって…。みんな窓から身を投げ出して叫んでるんだもん。

「この学園で王子に興味ない人なんてあんたぐらいよ?」

親友の早町南があたしに嫌みったらしく言ってくる。

「そんな…みんながみんな興味もつなんてありえない!」

「ありえちゃうのが王子なの。」

うっ…。何も言い返せない…。