グラウンドに着くと、駅伝部員であろう上級生たちがずらりと並んでいた。

「今度選ばれた子?」
二年生の女子先輩が聞いてきた。

「はい、ここへ来るように言われました。」
「へぇ~。」
といいながら、上から下まで私を眺め
「くすっ」
っと笑った。

「嫌な感じ!」
私が思う前にエリが私の後ろから小声で言った。
「エリ!シィ~っ!!」

選ばれたくてきたわけじゃないのに、本当に帰りたい気分だった。

そうこうしてると、
「集合!!」
の声がかかった。
顧問の岡田先生だ。そしてもうひとり・・・
さっき、体育で紹介された佐野先生だ。


「新一年生、倉沢!どこだ?」
岡田先生がキョロキョロと私を探している。
「はい、ここです。」
そう言うと、上級生たちが皆一斉に私を見た。
(怖いよ~・・・!)

「お前か、期待している!練習についてこいよ!!二年女子!倉沢の面倒をみてやれよ」
と、それだけの説明だった。
何が何だか・・・ホント、私に選択の余地は無かった。

「それから、皆、今日から駅伝チームのアシスタントコーチをやってもらうことになった佐野先生だ。渡辺先生の代理できてもらった先生で、一緒にチームを引っ張っていってくれる。有難く指導をうけるように!わかったか?」

「はい!」
存在自体が怖い岡田先生に分かりませんとは
だれも言えないだろう。


この日から、きつ~い地獄の練習が始まった。