「お客さん、寝てるときにお母さんを呼んでいたよ。」 運転手さんはそういって、去って行った。 手を開くと、手のなかには桜の押し花が握られていた。 「……夢じゃない…!!」 そう確信した私は、病院に向かった。 ―――…… ハァ…ハァッ…… 病院の桜は満開だ。 桜の幹にそっと寄り掛かった。 「……お母さん………。」