あいつ馬鹿だろ。
俺はあんな風に言ったけど、
練習風景を見て、
あんまり好きじゃなかった。
だから野球部には入るつもりはない。
ダラダラはしてない。
でもキビキビはしてない。
校舎の最上階にある空き教室は、
風通しが良くて心地よい。
ここからは野球部が丸見えで、
今何をしてるのか分かる。
あの女は何でか知らないけど
監督になったらしい。
どーせ俺に喧嘩ふっかけるためだろ。
昨日少しだけ話をした、
捕手の先輩はなんとなく好きだ。
俺の“好き嫌い”は感覚で決まる。
あの女は喧嘩売ってきたから嫌いだけど、
あの先輩は雰囲気が好きなのかな、
あの先輩はいい人だって感じた。
だから好きだ。
あの女もそぅ思ったんだろう、
あの捕手の先輩に相談して指示を出してる。
あの女と一緒にいた髪の毛の長い女は
今のところ見ていない。
あんな感じの女は
マネジも続かないだろうな…。
『日焼けする』とか
『帰るのが遅くなる』とか
『汗臭い』とか――…
そんなの知るかよ。
自分でやるって言ったのに
我儘な女ってすんげぇ嫌い。
イライラする。
あの髪の毛の長い女も、
そんな女なんだろうなって思った。